NFCアンテナ設計・共振調整・解析&センサ搭載無線モジュール開発
京都府京都市下京区中堂寺粟田町93
京都リサーチパーク4号館5F
Tel : 075-874-5597
NFCタグのアンテナ(コイル)に、最適なインダクタンスが存在することをご紹介します。
図1にNFCタグが磁界を受けていないとき、図2にNFCタグが磁界を受けたときの等価回路を示します。
図2におけるLSI等価抵抗Rpに発生する電圧VRpは、次式で表されます。
|VRp|が最も大きくなる場合を共振条件(共振周波数のページ参照)とすると、
ここで、タグアンテナの抵抗r2は、LSI等価抵抗Rpと比べて十分に小さいとすると、
(2)式より、
(1)式に、(3)(4)式を代入すると、
また、誘導起電力|Vm|は、
・リーダライタアンテナのインダクタンスをL1
・リーダライタアンテナに流れる電流をI1
・リーダライタアンテナとタグアンテナの相互インダクタンスをM
・結合係数をk
とすると、(6)式で表され、
(5)式に、(6)式を代入すると、
NFCタグのLSI等価抵抗Rpに発生する電圧|VRp|は、(7)式のように表されます。
次に、LSI等価抵抗Rpに発生する電圧VRpの NFCタグアンテナのインダクタンスL2 依存性を調べてみます。
L2が小さいとき、
このとき、Cpのインピーダンスが小さくなり、図2におけるCpとRpの並列接続部では、
電流がRpにはほとんど流れず、Cpに流れるので、図3の回路のように考えることができると思います。
共振しているとき、
したがって、
(11)式に、(6)式を代入すると、
L2が小さいとき、(13)式のように、LSI等価抵抗Rpに発生する電圧VRpは、NFCタグのインダクタンスL2が
増加するにしたがい、単調に増加していきます。
また、|VRp|は、(12)式を変形して次式のように表すことができます。
L2が大きいとき、図4の回路のようになると考えます。
このとき、
共振している場合、
したがって、
(19)式に、(6)式を代入すると、
L2が大きいとき、(22)式のように、LSI等価抵抗Rpに発生する電圧VRpは、NFCタグのインダクタンスL2が
増加するにしたがい、単調に減少していきます。
また、|VRp|は、次式のように表すことができます。
図5に、(7)(14)(22)式について、図5右側の計算条件の場合の|VRp-L2|特性グラフを示します。
(7)式の青い太線より、|VRp|は、L2の値によって最大値が存在することがわかります。
この|VRp|が最大となるL2が、タグアンテナの最適インダクタンス値となります。
LSIは、品種ごとに等価抵抗値Rpが異なるため、Lその品種ごとに最適インダクタンス値が決まります。
ここの検討では、通信距離が最も長い状態を「最適」とし、最適インダクタンスとは、あるリーダライタに対して最も通信距離を
長くすることができるタグアンテナのインダクタンス、としています。
2016.7.23
LSIの等価抵抗成分Rpを大きく、また、タグアンテナの抵抗成分を小さくした場合、ある距離でのLSI発生電圧が大きくなり、すなわち通信距離も長くなることがわかります。
2016.10.3